つくし報

【つくし荘出展作家インタビュー】町田雨子(第1部、Komore)

カテゴリー:つくしチームからのお知らせ2017.09.15

9月13日(火)よりはじまりました「つくし荘 作家選抜展」。今年も46人の魅力溢れる作家が2週にわたって名古屋に集結します。
今回は広報より出展作家46名をインタビュー形式でご紹介します。
つくし荘を観る前に、観た後に、ぜひお読みいただき、もっともっと作家のファンになっていただければ嬉しいです。

 

町田雨子(第1部、納屋橋Komore会場)
Profile:
私はSNS等を通して、心に闇を抱えている人がたくさんいると実感しています。もちろん私もそのうちの一人なのですが。
私は飛頭蛮やろくろ首、体に目が張り付いた女の子を描いています。彼女たちは、苦しみの中、蜘蛛の糸のような希望を探し掴もうとしています。鑑賞者が、絵の中の女の子と共に、希望を捨てずに生きて欲しいと思いながら制作をしています。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」。絵の中の女の子は、あなた自身なのかもしれません。
Web:https://twitter.com/matiame0815

 

町田雨子_1

Q:
あなたが創作活動をはじめたきっかけを教えてください。
A:
それは「未知への興味」です。
私は幼稚園児の時に、絵の才能がない事を予感し、小学生の時に気づき、中学生の時に実感し、高校生の時に失望しました。でも、どうしてもアートの「わからなさ」が魅力的で、宇宙や深海の謎を解こうとするようにアートのことをわかるようになりたかったのです。
(子どもの頃にわからなかった代表の)ピカソやデュシャンを理解したかったから、また、彼らのような目で世界を見てみたかったのです。それが創作活動を始めたきっかけです。

Q:
町田さんの作品に出てくる生き物たちは一見不気味なのですが、カラーや表情が華やかで優しくていいなあと思い、今回ご連絡を差し上げました。どのようなきっかけでちょっぴり怖い、けど可愛らしいものたちの表現をされるようになったのでしょうか?
A:
学生のころは、自分の為だけに絵を描いてきました。しかし、震災を経て誰か人のためになる絵を描きたいと思うようになりました。しかし、私自身がネガティヴで明るい性格ではないので、ハッピーで明るい絵が描けなかったのです。それならば逆の発想で、同じく心がつらくて苦しんでいるひとの共感を得るような作品を制作し、共感によって鑑賞者の心が楽になれれば、生きる力につながればと思いました。それが、誰でももっているヤミという不気味さ、また、抵抗がないような、いい意味でスキがあり親しみやすくなれるようにと、可愛らしい作風につながっているのだと思います。

Q:
「ネガティブな共感から人を癒す」という作家活動は、多くのアーティストとは反対のアプローチのようなイメージかもしれません。その分お客さんも「いいね!」以上に面白い反応があるように思いますが、お客さんの反応で嬉しかったこと・印象に残っていることを教えていただけませんか。
A:
あるお客様の大切な人が亡くなった時、そのお客様がみた夢が、私の作品のイメージと似ているというメモをいただいたことがあります。大事な想い・イメージを私の作品と交わらせていただけたのだと、嬉しかったのが印象に残っています。
また、お客様ではないのですが、作品をテーブルに置いていましたら、近しい人から「ここにおかないでくれる?見たくないし、嫌だから。」と言われたことがあります。全ての人に、作品を好きになってもらえるとは思っていませんが、現実を見ました。

Q:
どのようなものをご覧になって制作の参考にしたり、取り入れたりしていますか?よくご覧になる本・映画等や好きな画家・アーティスト、作品などあれば教えてください。
A:
好んで見る映画は、こども向け某国民的アニメーションです。ユーモアや情を感じるので、心をほぐしたり出来ます。北野武監督の「ソナチネ」の憂鬱さや、ブラット・ピット主演の「ジャッキー・コーガン」の余韻とドライさなども、私を形作るものの一つだと思います。
人物のモデルは殆どがファッション雑誌に載っている写真です。ドキッとさせられるモデルの表情などを参考にしています。書籍は、荒俣宏さんの「脳内異界美術誌」を愛読しています。
好んで鑑賞するのは魲万里絵さんの作品のようなアール・ブリュットの作品です。
私はヤミを抱える人間の一人ですが、美術教育を受けています。半アール・ブリュットの立場からして相対的に自分の立ち位置をみるためにも鑑賞しています。

Q:
描くとき、構図、色彩を決める時のご自身のルールやこだわりなどはありますか?
A:
こだわらないことにこだわっています。なので、表情を決める時、瞬発的に描ける場合と時間がかかる場合があります。小下絵もはっきりと描きません。作品はその時々の感性で描きます。制作中によく迷子になります。そういう時は時間をおいてから、まとめていく描き方をします。野生と育成が交わった、どちらともとれない半アール・ブリュットな制作法といえるかもしれません。

Q:
今後のチャレンジしてみたい仕事や、作家としての目標などありましたら教えてください。
A:
近いうちに作品の通信販売、先のことを考えると画廊の看板作家になりたいです。
震災以降、美術は謎解きから「共感・共有」へと移行していると聞きます。半アール・ブリュットという立場から、「共感・共有」をなじませるといいますか、誰かの心を共感で励ませられるアーティストになりたいと青臭いことを言い続けられる人間になりたいです。

町田雨子_2

町田さんの作品・お話からは作品や思い浮かべる人に対する静かな愛情、心づかいを感じました。どれも人ではないもの、妖や闇などの一見恐ろしくもあるイメージを描かれていますが、どの作品の子たちもとても優しい表情をしてとても丁寧に描かれています。ぜひ原画の柔らかさを会場でお楽しみください。

インタビュアー:TSUKUSHI TEAM 大澤

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